口から食べることが高齢者の健康維持に関わる

東京都健康長寿医療センター研究所

 東京都健康長寿医療センター研究所の研究グループが、甲状腺を支配する交感神経や副交感神経を電気刺激する実験により、甲状腺からのホルモン分泌が自律神経によって調節されることを明らかにしたと発表しました。

 甲状腺支配の副交感神経が咽頭への刺激によって活性化され、甲状腺からのホルモン分泌を増やすことを突き止めたとのこと。今回の研究成果は、これまで解明されていなかった口から食べることが高齢者の健康維持に関わるしくみを示したとのことです。

口腔機能の低下が認知機能の低下を招く理由

 高齢者では口腔機能が低下すると、認知機能の低下や全身のフレイル(体がストレスに弱くなっている状態)を招きやすいことが知られています。しかし、それがなぜかは良くわかっていませんでした。

 研究グループは、全身の代謝を調節するホルモンを分泌する甲状腺に注目して研究を続けてきたそうです。その過程の中で甲状腺からのホルモン分泌が、上喉頭神経(副交感神経)の活動によってすばやく増加することを突き止めたとのこと。

上喉頭神経の働きから予想

 上喉頭神経には、咽頭(口から入った食べ物の通り道)からの感覚情報を伝える感覚神経が含まれています。上喉頭神経の活動は、嚥下反射を誘発することも知られています。このことから咽頭への刺激によって甲状腺からのホルモン分泌が促進されることを予想したそうです。

 今回の研究では、麻酔ラットの咽頭に、食べ物を飲み込む時のように機械的刺激を与えて、甲状腺からのホルモン分泌がどうなるかを調べたようです。

咽頭への刺激を行うと

 甲状腺からのサイロキシンとカルシトニンの分泌が、咽頭への刺激によってどのような影響を受けるか調べたとのこと。咽頭刺激の間、サイロキシンとカルシトニンの分泌が刺激前の2倍に増加したそうです。

 この分泌反応は、上喉頭神経を切断することで消失したとのこと。上喉頭神経の求心性神経の活動と甲状腺に分布する副交感神経の活動は、咽頭刺激中に増加したとのことです。

サイロキシンとカルシトニンの分泌促進が関与

 今回の研究結果から、咽頭への機械的刺激が上喉頭神経の感覚神経を活性化することで、甲状腺支配の副交感神経が刺激され、全身の細胞の代謝を高めるサイロキシンと、骨の細胞に作用して骨を強くするカルシトニンの分泌を促進することが示されました。

 したがって、口から食べることが高齢者の心身の健康維持に役立つしくみにこの生理的反応が関与していると考えられるとのことです。