内臓脂肪だけでなく、脂肪肝に着目した取り組みが必要

順天堂大学

 順天堂大学は、非肥満者が生活習慣病になる原因を究明し、非肥満者では内臓脂肪の蓄積よりも脂肪肝が筋肉のインスリン抵抗性(代謝障害)と強く関連すると発表しました。日本をはじめアジアの人々は、肥満でなくても生活習慣病(代謝異常)になる人が多いですが、その明確な理由は今まで分かっていませんでした。今回の研究は、非肥満者の生活習慣病予防において、内臓脂肪だけでなく、脂肪肝に着目した取り組みが必要であることを示しているとのことです。

内臓脂肪と脂肪肝、どちらが有用な指標?

 生活習慣病になるアジア人の多くは、肥満ではありません。アジア人は欧米人と比べて、皮下脂肪に脂肪を貯蔵しづらいといわれています。そのため脂肪細胞が容量オーバーとなりやすく遊離脂肪酸としてあふれ出し、内臓脂肪とともに肝臓や骨格筋に蓄積することで、インスリン抵抗性(インスリンが効きにくい状態)が生じるというメカニズムが考えられています。

 このようなメカニズムを背景に、内臓脂肪と脂肪肝がインスリン抵抗性の指標となることが過去に報告されていたそうです。しかし、内臓脂肪が溜まっている人は脂肪肝になっていることが多く、非肥満者において、どちらがより有用なインスリン抵抗性の指標になるか分かっていませんでした。

 そこで今回の研究では、日本人男性において、内臓脂肪蓄積と肝脂肪の蓄積パターンとインスリン抵抗性の関連を調査したとのことです。

全身の代謝状態や脂肪分布に関する調査

 BMIが正常範囲内の日本人男性(87名)を対象に、全身の代謝状態や脂肪分布に関する調査を行ったそうです。

 内臓脂肪と脂肪肝はMRIを用いて計測。脂肪、肝臓、骨格筋のインスリン抵抗性を2-ステップ高インスリン正常血糖クランプ法(肝臓、骨格筋のインスリン抵抗性を精密に計測する方法)で測定したとのこと。

 内臓脂肪面積:100cm2以上を「内臓脂肪蓄積」、肝内脂質量:5%以上を「脂肪肝」と定義し、両者とも基準値以下のコントロール群(54名)、内臓脂肪蓄積単独群(18名)、脂肪肝単独群(7名)、内臓脂肪蓄積+脂肪肝群(8名)の4群に分けてインスリン感受性などを比較したそうです。

調査結果から

 内臓脂肪蓄積がなくても脂肪肝があると、脂肪組織と骨格筋のインスリン感受性の低下(インスリン抵抗性)がみられました。逆に内臓脂肪蓄積があっても脂肪肝がなければ、インスリン抵抗性が良好であること、内臓脂肪蓄積と脂肪肝の両方があっても、脂肪肝単独とインスリン抵抗性は同程度だったとのことです。また、脂肪組織インスリン感受性も同様の結果だったそうです。

 つまり、肥満じゃない日本人では、内臓脂肪の蓄積より脂肪肝の方がより強くインスリン抵抗性と関連があることが明らかになったとのことです。