自己免疫性膵炎に腸内フローラの変化に対する免疫反応が関与

近畿大学

 近畿大学医学部内科学教室の研究グループが、膵臓の慢性疾患のひとつである「自己免疫性膵炎」の発症について、腸内で一定のバランスを保ちながら共存する細胞の集まり「腸内細菌叢(腸内フローラ)」の変化に対する免疫反応が深く関わっていることを世界で初めて明らかにしたと発表しています。

 今回の研究により、自己免疫性膵炎の新たな治療法の開発や発症の予防法の確立が期待されるとのことです。

自己免疫性膵炎とは

 指定難病である自己免疫性膵炎は、1995年に初めて提唱された比較的新しい病気です。
自分の膵臓組織を免疫システムが誤って攻撃することで、全身性の炎症性疾患の症状として発症します。

膵癌をはじめとする各種の癌が合併して、病気が進行すると二次性の糖尿病を発症することがあります。

腸内フローラの変化で自己免疫性膵炎を抑制

 自己免疫性膵炎モデルのマウスに、抗生剤を投与することで腸内細菌を死滅させ、腸内フローラを劇的に変化させたところ、膵臓に存在する形質細胞様樹状細胞(免疫細胞の一種。Ⅰ型インターフェロンを産生することに特化した樹状細胞)が減少し、自己免疫性膵炎の発症が明らかに抑制されることがわかったそうです。

 また、次世代シークエンサー(遺伝子の塩基配列を高速に読みだせる装置)を用いて、腸内フローラの変化を検討したところ、自己免疫性膵炎を発症したマウスでは正常なマウスと比べ、腸内細菌の多様性が失われることが明らかになったとのこと。これらのことから、自己免疫性膵炎の発症に腸内フローラの変化が関与することが示されました。

自己免疫性膵炎の発症メカニズムに腸内フローラが関与

 自己免疫性膵炎は高齢の男性に多いといわれていますが、その発症メカニズムの詳細については明らかにされていませんでした。

 腸内フローラの変化に伴って、腸管の免疫機構が変化することに着目し、それが膵臓における自己免疫性膵炎の発症にどう影響しているのか実験したそうです。

 マウスを用いて、人為的に腸内フローラを変化させたところ、形質細胞様樹状細胞が膵臓で増加したとのことです。この結果から、自己免疫性膵炎の発症に腸内フローラに対する免疫反応が関わっていることが示唆されました。

自己免疫性膵炎の新たな治療法開発へ

 現在、自己免疫性膵炎の治療ではステロイドによる免疫抑制療法が行われていますが、さまざまな副作用が報告されています。

 「自己免疫性膵炎発症のメカニズムに腸内フローラに対する免疫反応が関与する」という研究成果から、新たな治療法の開発や発症の予防法の確立が期待されるとのことです。