レーザー光内視鏡の画像強調観察で胃ガンの見逃し減少を証明

京都府立医科大学

 京都府立医科大学の研究グループは、本邦においてガンの罹患数が2番目に多い胃ガンを対象に、早期発見するために必要不可欠である内視鏡検査において従来の白色光による観察と比較し、レーザー光内視鏡の画像強調観察である「BLI-bright」を用いることにより、胃癌の発見率が向上することを証明しました。本研究グループはこれまでにも、白色光と比較しレーザー光内視鏡の画像強調観察(BLI)が胃ガンの組織診断能においても優れていることも報告しており、本研究成果により胃ガンの見逃しを減らし、より多くの胃ガンを早期に発見・診断することで胃ガンによる死亡を減少させることが期待されます。

胃ガンの早期発見と早期治療を目指して

 現在、本邦において胃ガンは罹患数が2番目に多いガンです。しかし、早期ガンの5年生存率は95%以上であり、早期発見・早期治療が胃ガンによる死亡を減少させることが期待されています。胃ガンを早期発見するためには従来から白色光による胃カメラ(内視鏡検査)がバリウム検査よりも優れていることが報告されています。近年、より正確に胃ガンを診断することを目的として、様々な特殊光による観察(画像強調観察)が開発され、内視鏡検査に応用されています。

 2012年には富士フイルム株式会社がレーザー光源を用いた内視鏡システムを開発し、レーザー光を用いた画像強調観察である「bluelaserimaging(BLI)モード」、BLIをより明るくした「BLI-brightモード」が日常臨床に応用されています。これらのモードは選択的に短波長のレーザー光を当てることで粘膜表面の血管や構造が明瞭に観察可能となります。

 本研究グループはこれまでに、白色光と比較して、BLIが胃ガンに対する診断能力に優れていることをすでに報告しております。しかし、これらの画像強調観察が診断に有用でも、胃ガン自体を見つけなければ診断することはできません。従来から行われている白色光観察では、しばしば胃ガンの見落としがあることが報告されており、白色光の限界と考えられています。より胃ガンの発見率を上げるための方法と開発が大きな課題であると考えられます。

BLI-brightと白色光による胃の観察成果

 今回の研究では、京都府立医科大学附属病院ならびに京都府立医科大学附属北部医療センターで、胃ガンが現在あるいは過去にある患者さんあるいは萎縮性胃炎がある患者さん、合計650人に対して、内視鏡検査を行い、白色光でまず胃全体を観察してからBLI-brightで観察する(白色光先行)群298人とBLI-brightでまず胃全体を観察してから白色光で観察する(BLI-bright先行)群298人の2群に無作為に割付け、胃ガンの発見率を検討する研究を行ないました。すなわち、前述のBLI-brightという画像強調観察が、白色光より胃ガンの発見が多くなり、見落としを少なくできるかどうかを検討しました。

 結果として、白色光先行群では胃ガン24病変中12病変が白色光で見つかったため、白色光での発見率が4.0%、発見割合が50%、見落とし割合が50%に対して、BLI-bright先行群では胃ガン29病変中27病変がBLI-brightで見つかったため、BLI-brightでの発見率が9.1%、発見割合が93.1%、見落とし割合が6.9%でした。このことからBLI-brightが白色光より有意に胃ガンの発見が多くなり、見落としを少なくできることが証明されました。特にピロリ菌除菌後、胃ガンの既往がある、高度の萎縮性胃炎の症例には特に有用であることが判明しました。

 実際に白色光で見逃し、BLI-brightで発見された胃ガンの画像では、白色光ではガンと周囲粘膜との見分けがつきませんが、BLI-brightでは胃ガンが褐色調に見え、周囲粘膜との違いが明瞭に見えることで発見できることが可能でした。

本研究成果から今後期待されること

 白色光で観察することが最も胃ガンを発見することができ、白色光に勝る観察光はないと考えられてきましたが、本研究によりBLI-brightを用いることでより多くの胃ガンを発見し、見逃しを減らすことができることが判明しました。

 本研究成果により、BLI-brightを含めた画像強調技術による内視鏡検査が日本だけでなく世界に広がることにより、より多くの胃ガンを早期に発見・診断することで胃ガンによる死亡を減少させることが期待されます。