IL-26が皮膚の角質細胞や血管細胞の活性化を誘導

順天堂大学

 順天堂大学は、免疫細胞が産生する炎症関連因子IL-26(インターロイキン-26)が乾癬の炎症を悪化させるメカニズムを解明したと、プレスリリースを発表しました。今回の研究で、乾癬の炎症病態で増加する免疫細胞によって産生されるIL-26が、皮膚の角質細胞や血管細胞の活性化を誘導し、病変部の血管形成や好中球を過剰に集積させることで、炎症が悪化することを明らかにしたとのことです。

乾癬とは

 乾癬は、皮膚が赤く盛り上がり、剥がれ落ちる症状を繰り返す原因不明の慢性炎症性皮膚疾患のひとつです。日本で約43万人、アメリカで約750万人、全世界で約1億人の患者さんがいるといわれています。人目をひく外見と完治しづらい慢性的な痒みに、患者さんたちは悩まされています。

IL-26とは

 IL-26(インターロイキン-26)は、炎症を誘導する物質のひとつと考えられていて、数種類のヒトの細胞や組織から産生されることが確認されていますが、主に免疫細胞から産生されるといわれています。

 これまでIL-26が皮膚の炎症に関与することは明らかにしてきたそうですが、IL-26は炎症関連物質の中でも発見が新しいため、その働きの多くが解明されていませんでした。

 免疫細胞が密接に関わる乾癬などの皮膚疾患において、IL-26がどのような働きをしているかを明らかにすることで、IL-26をターゲットにした慢性炎症性皮膚疾患に対する新たな治療法が開発されるのでないかと考え、今回はマウスを用いて調べたそうです。

IL-26産生マウスの皮膚は非常に強い炎症を起こす

 今回の研究では、免疫細胞からヒトのIL-26が産生される遺伝子改変マウスを用いて行われました。皮膚に薬剤を塗って炎症を誘導した乾癬モデルを作成し、IL-26を産生しない野生型マウスと病態を比較したとのこと。

 野生型マウスの皮膚と比較すると、IL-26産生マウスの皮膚は非常に強い炎症を起こしており、特に病変部の血管形成が増殖されていたようです。さらに、好中球やT細胞などの血球細胞が非常に多く集まっていたとのことです。

FGFや好中球を集積させる因子の発現が高まる

 IL-26産生マウスの皮膚病変部の遺伝子発現を解析したところ、血管増殖因子であるFGFや好中球を集積させる因子の発現が高まっていたそうです。
実際に、乾癬モデルマウスだけでなく乾癬患者さんの皮膚でも、IL-26やFGFの産生が高まっていたとのこと。血管細胞にIL-26を作用させてみると、血管増殖因子FGFを産生することがわかったそうです。さらに、皮膚の角化細胞にIL-26を作用させても、FGFを産生することがわかったとのことです。

IL-26はさまざまな皮膚炎症疾患で重要な役割を担っている

乾癬では免疫細胞から産生されたIL-26が、血管細胞にみずから血管増殖因子FGFを産生させて細胞を活性化することに加え、角化細胞に産生させたFGFが血管細胞をさらに活性化し、強力な血管形成を促進していることが明らかになったそうです。

また、IL-26は血管細胞を集積させることで、炎症関連物質を蔓延させる可能性も明らかにし、さらに、IL-26産生モデルを用いて、接触型過敏性モデルでも病態を再現したところ、乾癬モデルと同じように過剰な血管形成に伴う炎症が顕著に促進させることもわかったとのことです。

つまり、IL-26は免疫細胞が病態悪化に関与するさまざまな皮膚炎症疾患で重要な役割を担っていると考えられます。

自己免疫疾患に対する治療の発展につながる

 これらの結果から、乾癬などの慢性的な炎症性皮膚疾患に対してIL-26をターゲットにした新たな治療法の開発だけでなく、がんなどの異常な血管形成を引き起こす疾患やさまざまな自己免疫疾患に対する治療の発展につながると期待されるとのことです。