食道がんに対して開発を進めてきた「テロメライシン」早期実用化に期待

岡山大学

腫瘍融解ウイルス「テロメライシン」先駆け審査指定制度の対象品目に指定

 岡山大学は、食道がんに対して開発を進めてきた腫瘍選択的融解ウイルス製剤「テロメライシン」が、厚生労働省の定める先駆け審査指定制度の対象品目に指定されたことを発表しました。今回指定を受けたことで、薬事承認にかかわる相談や審査において、医薬品医療機器総合機構(PMDA)により優先的に取り扱いを受けることができるため、早期の実用化が期待されるとのことです。

先駆け審査指定制度

 先駆け審査指定制度は、患者さんに世界で最先端の治療を最も早く提供することを目指しています。「治療薬の画期性」「対象疾患の重篤性」「対象疾患に係る極めて高い有効性」「世界に先駆けて日本で早期開発・申請する意思・体制」の4つの要件をみたす画期的な新薬などを、世界に先駆けて日本で実用化することを目的とした厚生労働省の制度です。

テロメライシンとは

 テロメライシンは、岡山大学で開発された国産の抗がんウイルス製剤で、感染したがん細胞を殺傷するとともに、放射線に対する感受性が増強することが明らかになっています。

 放射線との併用効果があることも基礎研究で証明されていて、岡山大学病院のテロメライシンの内視鏡腫瘍内投与と放射線治療を併用する臨床研究は終了し、岡山大学病院と国立がん研究センター東病院で同様のプロトコール(治療実施計画書)で行われる、岡山大学発バイオベンチャー オンコリスバイオファーマ株式会社の第1相臨床試験(企業治験)もまもなく終了予定とのことです。

テロメライシンの実用化がさらに加速

 テロメライシンの開発を進める、岡山大学発バイオベンチャー オンコリスバイオファーマ株式会社と中外製薬株式会社は、日本と台湾におけるテロメライシンについての独占ライセンス契約を締結したとのこと。

 テロメライシンは、先駆け審査指定制度の対象品目に指定されたこと、PMDAにより優先的に取り扱われること、独占ライセンス契約が締結されたことにより、実用化がさらに加速することが期待されるとのことです。

高齢の合併症を有する食道がん患者の治療に

 テロメライシンは、テロメラーゼ活性を標的とするがん治療を目的とした生物製剤であり、生体内で自立性をもって増殖する従来の抗がん剤にない抗腫瘍効果の作用機序を有しています。また、放射線によるがん細胞のDNA損傷の修復を阻害することで、放射線治療の感受性を格段に増強することができているそうです。

 標準的な手術や抗がん剤治療が受けることができない高齢の合併症を有する食道がん患者にとって、安全で有効な治療法であることが明らかになれば、より進むことが確実な高齢社会において、国民の健康増進と医療経済の節減に役立つことが期待されるとのことです。