変形性股関節症の炎症を伴う痛みが生じているさいの応急処置法

さいたま中央フットケア整体院院長
冨澤敏夫

炎症による痛みが強く出ているときは決して温めないこと

[とみざわ・としお]

1969年生まれ。整体師を経て柔道整復師となる。20年以上の施術経験があり、足のトラブルを専門に「どこに行っても、何をしても解消しない症状」を改善させることを得意としている。全国から来院される患者数は年間2000名以上。足の痛みに関して、原因追究とその解決法を実践してきた足の痛み解消のスペシャリスト。

変形性股関節症で炎症を伴う痛みが生じているときは安静が必要です。炎症が起こっているときは患部に熱感があるのが特徴です。歩行時はもちろん、安静時にも強い痛みが生じます。就寝時に寝返りなどで足を少し動かすだけでも激痛が走り、睡眠障害に陥ることもあります。

 炎症を伴う痛みが強く出ているときは、決して温めてはいけません。熱いお風呂に入ったり、使い捨てカイロなどで患部を温めたり、温湿布を使用したりすると、炎症が悪化してしまいます。病院から処方されるモーラステープなどの貼付剤も血行をよくする作用がありますので、使わないようにしましょう。また、お酒を飲む方も控えるようにしてください。

自分で簡単にできるアイシング法を知っていると安心

 今回は、炎症を伴う痛みが出ているときに役立つ応急処置法を2つご紹介しましょう。1つが「アイシング法」、もう1つが「さらし固定法」です。

 アイシング法で必要なものは、「氷」「ビニール袋2枚(氷のうで代用可)」「水」「一つまみの塩」です。ビニール袋は、スーパーマーケットなどでレジの後に商品を詰める場所にロール状になって置いてある透明の袋でかまいません。あとは、ハンカチのような薄手の布があるといいでしょう。

 アイシング法は必ず氷水で行うようにしてください。ビニール袋は2枚重ねて使用します。その中に適量の氷を入れて水を少なめに入れます。そして、塩を一つまみ入れ、水が漏れないようにしっかりと結びます。

 アイシングの準備ができたら、ハンカチなど薄手の布を地肌にあてがいながら痛みがいちばん強く出ている部位に当てて揺らすように動かしながら30~40分冷やします(0℃以下にならないため、凍傷にはなりません)。アイシングが終わったら、患部に冷湿布を貼るようにしてください。

 アイシングの後で重要になるのが、股関節の周辺部位を固定し、安静な状態を維持することです。薬局などで売られている10㍍のさらし(1反)を用意します。まず、さらしを縦3等分に折り、ハサミなどで切り込みを入れます。次に、切り込みの部分から縦方向に裂き、3本のさらしを作ります。裂いたさらしは、しっかりと巻いてロール状にしておきます。使用するさらしは2本です。

■炎症時に痛む股関節の安静な状態を維持するさらし固定法のやり方

さらし固定法のやり方

 1本目は骨盤の辺りに5回巻いてから大腿部(太もも)に巻いていきます(図①②を参照)。大腿部の太さによって巻く回数は変わってきますが、なるべくたるまないように引っ張りながらしっかりと巻いてください。

 2本目は大腿部に10回巻いてから骨盤の辺りに巻きます(図③④を参照)。ウエストの太さによって巻く回数は変わってきますが、たるまないように引っ張りながらしっかりと巻いてください。さらし固定法の巻き方であれば、「立つ」「座る」などの動作も支障なくできます。炎症を伴う痛みが出ているとき、アイシングをした後に試してみてください。

 大腿部に巻いているさらしは筋肉のサポートをしてくれます。さらしが大腿部を固定することで、弱っている筋肉の支えとなって補強してくれるのです。すると、大腿部に力が入りやすくなるため、歩行時に足を地面に着けたときに下からの衝撃を大腿部に巻いたさらしの部分で吸収でき、股関節に過剰な衝撃がかからないように守ってくれます。一方、骨盤の辺りに巻いたさらしは上半身の重さの負担を軽減する働きと、大腿部に巻いたさらしがずり落ちないようにする働きがあります。

 さらしは痛みが治まるまで、就寝時でも巻いて寝るのが基本です。患部の炎症が軽減してお風呂に入れるようになったら、入浴時には外しますが、入浴後はアイシングをしてから冷湿布を貼り、さらしを巻き直すようにしてください。

 さらしを巻いているとはいえ、炎症を伴う痛みが出ているときには安静が第一です。最小限の動作で済む生活を心がけてください。炎症が治まって痛みが軽減した後は、『健康365』2019年2・3月号で紹介した「マッサージ」「ストレッチ」「リハビリ」を実践するようにしましょう。