変形性股関節症の体重管理の重要性とおすすめの筋力強化法

さいたま中央フットケア整体院院
冨澤敏夫

股関節は荷重関節で体重増加の影響大のため体重管理が重要

[とみざわ・としお]

1969年生まれ。整体師を経て柔道整復師となる。20年以上の施術経験があり、足のトラブルを専門に「どこに行っても、何をしても解消しない症状」を改善させることを得意としている。全国から来院される患者数は年間2000名以上。足の痛みに関して、原因追究とその解決法を実践してきた足の痛み解消のスペシャリスト。

 変形性股関節症で気をつけなくてはならないのは、体重管理です。股関節やひざ関節は「荷重関節」といわれています。荷重関節には上半身の重さを支える役割があり、体重増加の影響をとても受けやすいからです。

 股関節には、歩くだけでも体重の2倍以上、階段の昇り降りでは体重の4倍以上の負荷がかかるといわれています。ただでさえ40~50代の方は関節を支える筋力低下が年々進んでいるため、関節が悲鳴を上げています。それに加えて、股関節の形成不全などがあれば、変形性股関節症の悪化は必至です。

 例えば、スーパーでブロック肉などを見ると、どれだけのお肉が体に余分についているかがイメージできますよね。現時点の体重から数㌔落とすだけでも痛みの軽減につながります。

「痛くて運動ができないから太る」という患者さんがいますが、運動できないぶんは食生活で痩せる努力をしましょう。太っている方は痩せている方よりも多くのカロリーをとっているものです。特に、ご飯や麺類などの炭水化物や甘い物、お酒などを常日頃から過剰摂取していることが多いようです。股関節の痛みから早く解放されたいのであれば、生活習慣を見直して体重管理を徹底しましょう。

筋力強化より痛みの回復が先で筋力強化はその後

 変形性股関節症の場合、筋力低下は直接的な痛みの原因ではありません。そのため、まずは『健康365』2019年2月号・3月号で紹介した「マッサージ」「ストレッチ」「リハビリ」に取り組んで痛みの回復を優先させ、その後に筋力低下の改善に取り組むようにしましょう。

 変形性股関節症患者さんの中には、筋力強化に励んでいる方も少なくありません。しかし、痛みが強いときに筋力強化を行うと、痛みを悪化させてしまうおそれがあります。無理をして筋力強化を続けている方はすぐにやめてください。それだけで痛みが軽減することがあります。

 巷でよいとされている筋力強化法の中には、私の経験から逆効果になるおそれがあるものもあります。例えば、横向きに寝て足を上げる運動(おすすめの筋力強化法とやってはいけない筋力強化法の図①を参照)は、股関節に相当な負担をかけてしまいます。股関節を横に開く筋肉(外転筋)の運動ですが、筋肉を鍛える前に股関節にダメージを与えてしまうため注意しましょう

やってはいけない逆効果の筋力強化法とおすすめの筋力強化法

おすすめの筋力強化法とやってはいけない筋力強化法

 また、ボールを内股に挟んで太ももの内側の筋肉(内転筋)を鍛える運動(おすすめの筋力強化法とやってはいけない筋力強化法の②を参照)も絶対にやらないでください。変形性股関節症の方は太ももの内側の筋肉が緊張しているため、内転筋を鍛えると筋肉の緊張が悪化して痛みを増強させてしまうおそれがあります。

 そこでおすすめなのが、今回ご紹介する2つの筋力強化法です。1つ目は股関節の外側の筋肉(中臀筋)を鍛える運動です。中臀筋は骨盤と大腿骨をつなぐ筋肉で、片足立ちのさいに体のバランスを保つ働きがあります。

 まず横向きに寝て、股関節とひざ関節を90度に曲げます。手のひらをひざの付近に添えて足を床と平行になるように、5秒くらいかけてゆっくりと上げて下ろします。これを10回繰り返した後、ひざを伸ばして脱力します(ただし、初めのうちは5回から始めてください)。その後、使った筋肉の部分を手でマッサージしてください。これを3セット繰り返します(おすすめの筋力強化法とやってはいけない筋力強化法の図③を参照)。決して無理はしないでください。

 2つ目はお尻の筋肉(大臀筋)を鍛える運動です。まずうつぶせになって、ひざを90度に曲げて全身をリラックスさせます(鍛える部位以外に力を入れないようにすること)。鍛えたいほうの足を床から3㌢程度、5秒くらいかけてゆっくりと上げて下ろします。これを10回繰り返した後、ひざを伸ばして脱力します(ただし、初めのうちは5回から始めてください)。その後、使った筋肉の部分を手でマッサージしてください。これを3セット繰り返します(おすすめの筋力強化法とやってはいけない筋力強化法の図④を参照)。

 痛みが強くなる場合は、筋力強化法を中止してください。変形性股関節症では痛みを軽減させることが最優先事項です。筋力強化法は痛みが治まってから行うようにしましょう。