変形性股関節症の“動き・痛み”の分類別に行う!冨澤式[股関節温存療法]軽度の場合

さいたま中央フットケア整体院院長
冨澤敏夫

知っておきたい!痛み止めのメリット・デメリットとは?

[とみざわ・としお]

1969年生まれ。整体師を経て柔道整復師となる。20年以上の施術経験があり、足のトラブルを専門に「どこに行っても、何をしても解消しない症状」を改善させることを得意としている。全国から来院される患者数は年間2000名以上。足の痛みに関して、原因追究とその解決法を実践してきた足の痛み解消のスペシャリスト。

 変形性股関節症の患者さんに知ってほしいのは、初期の段階に痛み止めで一時しのぎをせず、適切なケアに取り組むことの重要性です。私は「痛み止めを飲まないほうがいい」とは患者さんにいいません。ただし、条件があるため、痛み止めのメリットとデメリットを説明するようにしています。

 痛み止めのメリットは、痛みから起こる精神的なストレスを軽減できることです。痛みのせいで夜眠れない場合など、しっかりと睡眠が取れるようになり、自然治癒力が働きやすい環境も整います。

 一方、痛み止めのデメリットは、特に変形性股関節症の初期では痛み止めの効果が高いため、痛み止めに頼りすぎてしまう傾向があることです。薬で痛みを紛らして無理をして動いてしまうと、変形性股関節症の進行を早めてしまうおそれがあるため、要注意です。

 痛み止めはあくまでも対症療法で、変形性股関節症を治しているわけではありません。また、痛み止めが切れれば、再び痛みが出てきます。痛いときに痛み止めを飲むのはいいのですが、無理をしないで安静にしてセルフケアで痛みの軽減を目指しましょう。

 今回は軽度の股関節症のセルフケアを指導します。軽度の場合は、意外と早い段階で痛みから解放されることが多く、皆さんにたいへん喜ばれています。軽度でも変形性股関節症と診断された場合は、外傷性でない限り、股関節の形状異常や軟骨のすり減りの疑いがあるため、これから指導するセルフケアをしっかり継続して症状を悪化させないようにしましょう。

 軽度の場合のセルフケアのポイントは可動域(動かすことができる範囲)を広げることです。変形性股関節症が中等度まで進行すると、「あぐらをかけない」「靴下を履くときにひざが上がらない」「爪を切るときに足の指に手が届かない」など、日常生活を送るうえで不自由さが目立ってきます。これらの症状が出はじめた頃にセルフケアを行えば、進行を食い止めて股関節の正常な可動域を確保できる期待が持てます。

マッサージのやり方

 マッサージとストレッチに関しては重度・中等度と同じです(「マッサージのやり方」の①~④、「ストレッチのやり方」」のⅠ~Ⅲを参照)。マッサージとストレッチを十分に行った後、可動域を広げるセルフケア「リハビリ」を行います(「リハビリのやり方」の⑴~⑷を参照)。

股関節の可動域を広げるセルフケアである「リハビリ」のやり方

ストレッチのやり方

 まず、ひざを抱え込む「リハビリ⑴」です。1回目は軽めの力で行い、10秒静止して元に戻します。元に戻したら「マッサージポイント②」を10秒ほぐします。2回目は1回目より少し強めに行って10秒静止して元に戻し、マッサージポイント②を10秒間ほぐします。3回目は2回目よりもさらに強く行って10秒静止して元に戻し、マッサージポイント②を10秒ほぐします。

 初めのうちは足のつけ根が詰まったような感覚が生じるかもしれません。1回目→2回目→3回目と行うことで体が少しずつ柔らかくなり、胸にひざをつけやすくなります。ポイントは、段階的に力を強めながら同じ動作を3回繰り返すことです。3回繰り返すことで徐々に可動域が広がり、安全に行えるようになります。

リハビリのやり方

 次は、ひざを外側に開く「リハビリ⑵」です。外側に開いて10秒静止し、マッサージポイント②を10秒ほぐす動作を、リハビリ⑴と同様に力を徐々に強くしながら3回繰り返します。そのさいの注意点は、かかとをできるだけお尻のほうに近づけることです。ひざを外側に開くほうの手でひざの内側を支えると行いやすいと思います。

 次に行う「リハビリ⑶⑷」は決して無理をしないようにしてください。「リハビリ⑶」では、ひざを内側に倒して足首を手で支え、ひざの上に反対側の足を乗せます。その状態で10秒静止し、戻したらマッサージポイント②を10秒間ほぐします。これも3回繰り返します。

 そして、最後の「リハビリ⑷」では、片方の脚で正座をするようにして、腕を頭のほうに伸ばします。おなかや太ももの筋肉を伸ばすように意識しながら30秒静止し、反対側も痛む場合は同様に行って終了です。私が直接指導する場合は少し無理をしても安全ですが、各自で行う場合はくれぐれも無理をせず、気持ちよい程度でとどめるようにしてください。