がん細胞の顕微鏡画像を認識するAI新技術

人間を超えたAIの画像認識技術

 画像認識の分野においては、2012年に開かれたAIの画像認識技術競技大会で、深層学習と呼ばれるアルゴリズムを用いて学習したAIが驚くべき成果を上げました。それ以降、研究者達は競ってAIの研究を推し進め、AIの精度が目覚ましく向上していきました。今では、AIの画像認識精度が人間を超えたとも言われており、生活の様々な場面でのAIの活用が期待されています。医療分野の研究においても、AIを用いた研究は活発に行われており、日常診療へのAIの技術の応用が期待されています。しかしながら、AIが医療用画像の学習を重ねることで何ができるかということについては、明確な回答は得られていません。医療用画像に対してAIがどのように対応し、応用できるかを検討していく必要性が急務とされています。

10,000枚超の細胞株顕微鏡写真における98%の正解率

 まず、マウスとヒトのがん細胞株を用意し、それらからさらに放射線治療が効きにくい放射線治療抵抗性の細胞株をピックアップしました。次に、これらの細胞株の位相差顕微鏡写真をそれぞれ10,000枚ずつ撮影し、それらを用いて、畳み込みニュートラルネットワークの学習を行い、画像に写る細胞腫を特定するAIの作成を行いました。作成されたAIの正答率は実に約98%までに達しました。AIは人が判断するよりも早く、正確であることが示されました。

期待される放射線治療などのがん治療のAIによる効果予測

 これまでAIによる画像認識技術は、物体、動物、植物などがほとんどで、医療用画像に対する応用事例に関する報告は多くありませんでした。しかしながら、本研究成果により、AIの画像認識技術が医療画像領域でも有用であることが示されました。この技術を応用、発展させていけば、細胞の種類だけではなく、治療に対する反応性を画像から予測する技術の確立が期待できます。