乳酸菌の摂取により、加齢に伴う腸の炎症や目の老化が抑制される

国立長寿医療研究センター

これまで報告のなかった乳酸菌摂取による目の老化への影響

 加齢に伴って、様々な臓器において炎症が誘導され、蓄積されてしまうこと。また、一方では乳酸菌のようなプロバイオティクスによって、このような慢性的な炎症が緩和できることは、これまでに様々な研究グループにより報告されてきました。

 さらに、近年では、腸内常在細菌の制御を介した腸と脳、というような他の組織であったり、あるいは感覚器のひとつである目などの器官との関連性についても注目が高まってきています。しかしながら、乳酸菌摂取によって、加齢に伴う目の老化への効果についてはこれまでに報告がありませんでした。

加齢による腸内細菌叢変化の抑制、腸の炎症の抑制、網膜神経節細胞の細胞死の抑制が可能に

 今回、当研究グループは、KIRIN株式会社との共同研究において、乳酸菌の一種であるLactobacillus paracasei kw3110を自然加齢マウスに持続的に摂取させることによって、加齢に伴う腸内細菌叢の変化の抑制、および、小腸粘膜固有層の炎症性粘膜細胞の比率が抑制されることを見い出しました。

 それに加えて、加齢によって増加する血中の炎症性サイトカインについても、本乳酸菌摂取によって抑制されること、さらには網膜神経節細胞の加齢に伴う細胞死も抑制されることが、野生型マウスを用いた動物実験によって明らかになりました。

期待される乳酸菌摂取による個体老化の抑制メカニズムの解明

 栄養として体に取り入れた乳酸菌が、どのように個体の老化を緩和させていくのか、その分子メカニズムの解明が注目される一方で、このLactobacillus paracasei kw3110を用いた、日常的に摂取しやすい腸や目の老化を緩和したり、予防する食品の開発が期待されます。