世界初!脊髄損傷に対するIPS細胞を用いた臨床研究

 慶應義塾大学医学部および慶應義塾大学病院は、「亜急性期脊髄損傷に対するIPS細胞由来神経前駆細胞を用いた再生医療」の臨床研究について、同大特定認定再生医療等委員会において、11月27日付けで承認を受けたと発表しました。今後、臨床実験の実施に向けて、厚生労働大臣へ本提供計画を提出するなど必要な手続きを進めていくとのことです。

慶應義塾大学

脊髄損傷とは

 脊髄損傷は、交通事故や高い所から落ちたりしたことが原因で脊髄そのものが損傷を受けて、損傷部より下位の運動神経・知覚神経・自律神経の麻痺をもたらす病態です。日本国内には約10万人の患者さんがいますが、これまで脊髄損傷に対する有効な治療法はありませんでした。

有効な治療となる可能性

 これまでの研究で神経前駆細胞(神経のもとになる細胞)を、受傷後比較的早いうちに患者さんの損傷脊髄に移植すれば、脊髄損傷に対する有効な治療となることがわかってきたそうです。

臨床研究の目的

 今回の臨床研究では、亜急性期脊髄損傷(受傷後14〜28日の脊髄損傷)の患者さんを対象に、主として「移植細胞および移植方法の安全性」を、副次的にそれらの「脊髄損傷治療の有効性」を確認することを目的に行うとのことです。

「亜急性期脊髄損傷」に限定

 今回の研究は「脊髄損傷に対する神経前駆細胞の移植」という世界初の治療法に関する臨床研究であるため、「亜急性期脊髄損傷」という非常に限られた患者さんを対象に行うこととなります。

将来の計画

 臨床研究で安全性が確認できた場合、将来の計画として、細胞数を増やすことによる有効性の検討や、「亜急性期脊髄損傷」だけでなく「慢性期脊髄損傷」における安全性や有効性の検討を行いたいとのことです。

今後の予定

 慶應義塾大学病院は臨床実験の実施に向けて、厚生労働大臣へ本提供計画の実施を申請する予定です。本提供計画は、提出後90日の間で、再生医療等提供基準への適合性についての確認を受け、適合性が確認された場合、その旨の通知を受け、臨床研究を開始することが可能になるとのことです。