魚を食べないと大動脈疾患による死亡リスクが増加する

国立がん研究センター

国立がん研究センターと筑波大学は、魚をほとんど食べない人で、大動脈解離や大動脈瘤などの大動脈疾患による死亡率が増加することを世界で初めて明らかにしたと発表しました。

増加傾向にある大動脈疾患死亡率

 近年、日本での大動脈解離や大動脈瘤などの大動脈疾患の死亡率は、高齢化に伴ってやや増加傾向にあります。大動脈が裂けたり、破裂したりすると、医療が進んだ現代でも命が助からないケースが多いため予防が大切です。

 大動脈疾患の主な原因は動脈硬化と考えられています。そこで、心筋梗塞同様、魚を食べることが大動脈解離や大動脈瘤の予防に働く可能性があるのではないかと以前から考えられてきましたが、その科学的なエビデンスはほとんどない状況でした。

魚摂取と大動脈疾患死亡リスクとの関連を分析

 今回は、国立がん研究センターと宮城県、愛知県、大阪府で行われたコホート研究(要因と疾患との関連を調べる観察研究)で使用された36万人以上の食習慣アンケート調査結果から、魚摂取頻度と大動脈疾患死亡リスクとの関連を分析したとのことです。

 魚摂取頻度を「ほとんど食べない」「月1〜2回食べる」「週1〜2回食べる」「週3〜4回食べる」「ほとんど毎日食べる」と5つの群に分け、循環器系疾患の主なリスク要因を統計的に調整したうえで、「ほとんど食べない」群に対する他の群の大動脈疾患死亡リスクを算出し、その後すべてのコホートを統合したそうです。

大動脈解離で2.5倍、大動脈瘤では2.0倍リスク上昇

 魚を「ほとんど食べない」群は「週1〜2回食べる」群に比べて大動脈解離で2.5倍、大動脈瘤では2.0倍死亡するリスクが高くなったそうです。また、「月1〜2回食べる」群は「週1〜2回食べる」群と比べて大動脈解離では死亡リスクの上昇はみられませんでしたが、大動脈瘤では1.9倍とやや高くなりました。一方、「週3〜4回食べる」群と「ほとんど食べる」群では、リスクの大きさは変わらなかったとのことです。

極端に魚摂取が少なくならないように

 魚を食べる頻度が少ない場合は、大動脈疾患で死亡するリスクが上昇し、少なくとも「月1〜2回」食べていれば死亡リスクは高くならないことが今回の研究からわかりました。魚の摂取が極端に少なくならないことが、大動脈疾患での死亡を予防するために重要だと考えられます。なお、魚の高摂取が心筋梗塞のリスクを低下させることもわかっているので、より多く魚を食べることが循環器系疾患予防につながると考えられるとのことです。