病気と向き合う患者さんたちが心がけたい〝3つの要素〟をお伝えします!

一般社団法人ペイシェントフッド 代表理事
宿野部武志さん

[しゅくのべ・たけし]

1968年、埼玉県生まれ。3歳のときに腎炎とわかり、大学受験の直前から人工透析を受ける。㈱ソニー勤務を経て、腎臓病患者のQOL向上を目的としたペイシェントフッドを設立。インターネットサイト『じんラボ』(http://jinlab.jp/)の運営をはじめ、患者・医療従事者の就労支援、透析施設のコンサルティングなども行う。

 皆さんは、病気と向き合うために必要な要素について考えることはありますか?もの心がついたときから病気とともに生きてきた私が、自身の経験から大切だと思っているのは、次の3つの要素です。

①メンタルケア
②コミュニティに参加する
③リテラシー(情報や知識の活用能力)を高める

 なぜこの3つの要素が大切だと思っているのか、説明したいと思います。

 1つ目の「メンタルケア」は、最も大切な要素ではないでしょうか。気持ちが整っていなければ、何をするにもよい方向にはいかないですよね。

 しかし、私たち患者は病気に伴う大きな不安に襲われることがあるため、気持ちが整っている状態を常に保つことは簡単なことではありません。気持ちが不安定になれば、冷静な判断が難しくなり、さまざまなことに影響してしまいます。病気と向き合っていくための土台は、やはり「健やかなメンタル」だと思います。

 では、「健やかなメンタル」はどうやって保てばいいのでしょうか。その最たる活動がピアサポート活動(同じような立場の人による支援活動)です。一人でも多くの人が健やかなメンタルを保てるように、私たちペイシェントフッドも腎臓病・透析患者を対象にピアサポート活動を行っています。

慢性腎臓病・透析患者を対象にした「じんラボ」を運営する宿野部さんは、積極的な交流活動を展開している

 次に、2つ目の「コミュニティに参加する」です。皆さんは、同じ病気を抱える仲間と交流したことはありますか?患者会をはじめ、医療機関や企業が行う患者向けの勉強会や各種セミナー、コミュニティ系ウェブサイトなど、患者仲間と出会う機会はいろいろありますよね。私たちも勉強会やイベントなどを定期的に開催しています。「患者どうしのリアルな交流が苦手」という人は、匿名で始められるSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)を利用したつながりから始めるのもいいかもしれません。

 こうしたコミュニティに参加することで、治療や生活の質を高める方法に関するさまざまな情報交換ができます。さらに、患者どうしが励まし合うことで気持ちがらくになったり、物事を前向きに考えられるようになったりするでしょう。きっと、〝患者どうしだからこそ〟というプラスの効果があるはずです。

 最後は「リテラシーを高める」です。これは、雑誌や書籍、インターネット、勉強会などから得た情報・知識から自分に合ったものを選び、行動できるようになることを指します。

「メンタルケア」「コミュニティに参加する」「リテラシーを高める」を意識しながらピアサポート活動を活用して気持ちを整えながら、そのうえで自分に合った「コミュニティ」に参加するといいでしょう。

 以上の3つの要素を意識して、できるところから始めてみてください。きっと、無理せずに自然に病気と向き合えるときがくると思います。その先には、病気だからと諦めることなく、「自分が実現したい未来」「大切にしたい生き方」を実現しているあなたがいるはずです。