股関節・ひざ関節の変形性関節症を撃退するE型コンドロイチンで激痛が軽減し軟骨も再生

早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構研究院教授
矢澤 一良

要支援・要介護となる最大の要因がロコモで三大疾患の1つである変形性関節症に要注意

[やざわ・かずなが]

1948年、東京都生まれ。農学博士。京都大学卒業後、株式会社ヤクルト本社・中央研究所入社。公益財団法人相模中央化学研究所、東京水産大学(現・東京海洋大学)大学院教授、客員教授、特任教授を経て現職。クリルオイル研究会会長、日本機能性食品医用学会理事などを兼任。著書に『機能性スポーツフードの開発』(シーエムシー出版)、『マリンビタミンで奇蹟の若返り』(PHP研究所)などがある。

 ロコモティブシンドローム(運動器症候群。以下、ロコモと略す)は、運動器の障害によって「立つ」「歩く」といった機能が低下している状態のことです。運動器とは、骨や関節、軟骨、椎間板、筋肉だけではなく、脳から出た指令を伝える脊髄などの神経も含めた「体を動かすしくみ」の総称です。

 運動器が衰えて機能に障害が起こると、立ったり歩いたりといった、日常生活を送るうえで必要な動作に支障をきたすようになります。ロコモによる生活の質の低下は大きな問題となっており、2016年に厚生労働省が発表した「国民生活基礎調査」によると、要支援になる要因の第1位は「運動器の障害」(17.2%)でした。第3位の「骨折・転倒」(15.2%)と合わせると、要支援になる要因の30%以上をロコモが占めていることになります。

 運動器の疾患にかかると、多くの人が悩む症状として痛みが起こります。体を動かすことで痛みが生じると、しだいに生活の中で活動量が減少してしまいます。「足腰が痛くて外出したくない」「起き上がるのも困難で布団から出たくない」など、痛みと無気力の悪循環に陥り、やがて要支援・要介護につながっていくのです。

 ロコモを招く三大運動器疾患として、股関節やひざ関節などに起こる変形性関節症、腰部脊柱管狭窄症(以下、脊柱管狭窄症と略す)、骨粗鬆症が挙げられます。中でも、患者数が群を抜いて多いのが変形性関節症です。

 変形性股関節症の患者数は、200万~300万人と推定され、500万人とするデータもあります。厚生労働省の調査によると、変形性ひざ関節症が疑われる患者数は3000万人、痛みを覚えている患者さんは1000万人いると報告されています。一方、別の調査で脊柱管狭窄症は約580万人、骨粗鬆症は約1280万人と推計されています。ロコモの三大運動器疾患の中でも、変形性関節症の患者さんがいかに多いか、お分かりいただけると思います。

 私は、変形性関節症や脊柱管狭窄症をはじめとしたロコモを予防・改善するために、コンドロイチンをすすめています。コンドロイチンは、正しくはコンドロイチン硫酸といい、ムコ多糖類の1つです。〝ムコ〟とは「動物が分泌するネバネバした物質」という意味で、ネバネバ成分のコンドロイチンは皮膚や軟骨、骨、目の角膜など、各臓器に存在しています。

 軟骨にあるコンドロイチンは、関節のスムーズな動きを支える重要な働きを担っています。コンドロイチンは強力な保水性があり、軟骨には通常65~80%の水分が保持されています。水を含んだスポンジのようになった軟骨は、関節にかかる衝撃を和らげ、滑らかな動きを支えているのです。

 さらに、コンドロイチンには、栄養を含む関節液を運ぶ役割があります。血液の代わりに軟骨に栄養を補給したり、老廃物を排出したりする役割があるといわれているのです。

 コンドロイチンは、加齢とともに体内での産生量が減ってしまい、40代以降はほとんど自力で作り出せないといわれます。コンドロイチンが不足すると、関節痛や腰痛の原因にもなるため、体外からの補給が必要になります。

コンドロイチンでもE型が最もおすすめで抜群の抗炎症作用が関節の痛みを軽減

一般的に市販されているのは、主にブタ・ウシ由来のA型とサメ由来のC型のコンドロイチン。新しく発見されたイカ由来のE型のコンドロイチンには、従来型には見られない数多くの優れた働きがあることが分かっている

 コンドロイチンの摂取が関節にいいということをご存じの人も多いと思います。ただ、ひと口に〝コンドロイチン〟といっても、いくつかの種類があることをご存じでしょうか。多く流通しているのがサメの軟骨から抽出されたC型コンドロイチンで、他にブタ由来のA型やB型、ウナギ由来のD型などがあります。私が注目しているのが、近年になって新たに発見された〝E型コンドロイチン〟です。

 E型コンドロイチンは、太平洋の沖合いで捕れるアカイカの頭部軟骨が原料です。2㍍を超す巨大なアカイカ一匹から数㌘しか抽出できない、非常に希少な成分で、他の型のコンドロイチンには認められない、数々の優れた働きがあることが分かっています。

 E型コンドロイチンの働きの1つに、強力な抗炎症作用が挙げられます。変形性関節症の痛みを軽減するには、炎症を抑えることが重要です。他の型のコンドロイチンにも炎症を抑える働きはあるものの、E型コンドロイチンの抗炎症作用は突出しているといえます。

 さらに、E型コンドロイチンには骨や軟骨を新たに作り出す、骨芽細胞を活性化する働きがあることが分かっています。活性化した骨芽細胞からは、オステオカルシンという軟骨や骨の形成を促すホルモンが産生されます。

 さらに、オステオカルシンには、体内の男性ホルモンの分泌を促す作用もあり、軟骨や骨を形成するばかりか、筋肉を増強する働きも期待できるのです。関節そのものの強化だけでなく、体を支えて安定させる筋肉を増強することで、症状の緩和につながります。

 変形性関節症や脊柱管狭窄症、骨粗鬆症によってロコモの症状に悩んでいる方に、E型コンドロイチンはまさに最適な素材です。私は、ロコモの症状改善はもちろんのこと、予防のためにもぜひE型コンドロイチンを役立ててほしいと考えています。