うつ病がその人の体格や食生活、運動習慣などとの関連が明らかに


国立精神・神経医療研究センターは、うつ病はその人の体格や生活習慣、メタボリック症候群などが関連することが、大規模なウェブ調査で明らかになりました。我が国における大規模なウェブ調査により、体格指数による分類、メタボリック症候群関連の疾患、生活習慣とうつ病の関連について検討しました。その結果、うつ病になった経験がある人は、肥満や脂質異常症が多く、食生活においても、間食や夜食の頻度が高い一方、朝食を取っている頻度や運動頻度が低いことが明らかになりました。これまでのうつ病治療や予防としての服薬やストレスの対処が重要であるとされてきましたが、今回の研究からそれらに加えて栄養学の方面からのアプローチもうつ病治療や予防において、重要な役割を果たす可能性を示唆しています。

国立精神・神経医療研究センター

小規模な報告しかなかったうつ病と生活習慣の関係

うつ病は主要な精神疾患のひとつで脳の病気と考えられています。症状としては、気分の落ち込みや興味・関心の低下、不眠といった諸症状があり現れ、最悪の場合、休職や自殺などのリスクを高める重要な精神疾患です。世界でも約20人に1人がうつ病であると推定されます。

これまで脳の病気と考えられていたうつ病ですが、食生活や生活習慣がうつ病発症のリスクに関係があることを示唆する結果が増えています。しかし、これまで日本での検討は少なく、小規模データや個別の要因との関連を報告したものなどがほとんどでした。

約1万人を超える大規模調査

今回、大規模なウェブ調査に参加したのは11876名。そのうち、うつ病を罹患したことがあると答えた人は1000名、残りの10876名を比較対象郡としました。心理的ストレスレベルの簡易的な指標として日本語版K6テストと呼ばれる、6つの質問からなる心の健康状態を調べるためのテスト結果の値を用いました。また、体重と身長の関係から数値から出される肥満度を表すBMI指数を用いて、

・18.5未満を体重不足
・18.5~25未満を正常体格
・5~30未満を過体重
・30以上を肥満

とする欧米の定義を採用しました。

朝食や間食・夜食の頻度は、4点評価(まれ、1~2日/週、3-4日/週、ほぼ毎日)によって行われました。軽度、中等度、強度運動および飲酒の頻度は、週当たりその活動に費やした日数で評価しました。

うつ病の人、そうでない人の違い

今回の行ったK6テストそれぞれの平均点は、うつ病に罹患したと答えた人は14.1点、そうでない人は9.8点でした。それぞれの結果から、うつ病に罹患したと答えた人は、そうでない人と比較してストレス症状が強かったことが確認されました。うつ病に罹患したと答えた人では、そうでない人と比較してBMIが30以上と肥満の割合が高く、正常体格の人の割合が低い結果となっていました。また、BMI18.5未満の体重不足もうつ病群に多いという結果でした。この他に、メタボリック症候群関連疾患のうち、脂質異常症の人の割合と糖尿病の割合も、うつ病に罹患したと答えた人に高い結果が出ました。しかし、うつ病と高血圧の間に有意な関連はみられませんでした。食生活に関して、間食・夜食の頻度がうつ病に罹患したと答えた人に高く、朝食の頻度が低いという結果がでました。また、うつ病に罹患したと答えた人の中等度から強度運動の頻度が低いという結果がでました。

生活習慣改善でうつ病の病状改善の可能性も

今回の研究結果から、うつ病と、体重不足や肥満などの体型の偏り、糖尿病や脂質異常症、食生活には関連性があるという結果が出ました。うつ病患者のメンタルヘルスにおいて、しっかりとした朝食と適度な運動は非常に重要な事であり、間食・夜食などの余分な食事に伴う肥満は、有害であるという可能性を支持しています。

この大規模なデータは、今後日本の臨床において重要な参考資料になると考えられ、うつ病の一部は生活習慣の改善で病状改善につながる可能性を示唆しています。