幸福度が高いとターゲットを見つけるのが速くなる

幸福度とターゲットを探す速さの関係をスマホアプリで

情報通信研究機構

情報通信研究機構(NICT)とアストン大学は共同で、生活の中で刻々と変わる人の幸福度が、障害物の中のターゲットを探す速さに現れることをスマートフォンアプリを使用して実験的に明らかにしています。

基本的な機能に気分が影響するか

 幸福度が高い時は低い時とくらべて、創造性が高く、社会性に富むことが、社会心理学の研究では支持されています。しかし、物を見たり、ターゲットを見つけたりするような基本的な機能に気分が影響しているかどうかは分かっていませんでした。

異なる気分の想起方法が要因のひとつ

 従来の研究では、実験室で音楽・映像・報酬などによって人の幸福度を変化させて計測していました。これまでの研究結果では、幸福度の視覚機能への影響に対して、支持するものと支持しないものが混在していたとのことです。そのひとつの要因として、気分の想起方法の違いがあるのではないかと議論になっていました。

スマホアプリを独自に開発

 そこで、NICT脳情報通信融合センターは、スマホアプリを独自に開発して、日常で起こる自然な幸福度の変化を記録するとともに、視覚探索課題を同時に長時間にわたり計測することを実現しました。

幸福度が視覚探索課題の速度に影響

 独自のスマホアプリを開発することで、刻々と変化する人の幸福度を記録するのと同時に、視覚探索課題を行うことを可能とし、これにより、幸福度の高低が視覚探索課題の速度に影響を与えることが明らかになりました。

幸福度は性格で一定ではない

 実験参加者33名には毎日、朝・昼・晩の3回、2週間にわたり(1回あたり5分程度)ターゲットを見つけるアプリの課題に取り組んでもらったところ、人の幸福度は性格で一定ではなく刻々と変化し、幸福度が高くなると障害物の中のターゲットを見つけることが速くなることがわかりました。

 つまり、日常生活の中で人が感じている幸福度の高低により、人が物を見つけるというような基本的な機能のパフォーマンスが違うということを実験で明らかにしました。また、この知見により、逆に、視覚探索課題のパフォーマンスをスマホアプリなどを利用してモニターすれば、人の幸福度の変化がわかる可能性を示しています。

今後の展開として

 幸福度の高低と、視覚探索機能のパフォーマンスが関係しているというこの研究の結果は、視覚探索機能のパフォーマンスをモニターすれば、幸福度を推定できることを示唆しています。

 また、スマホアプリなどを活用することで、うつ病など心の病の兆候を見える化することで未然に防ぐことが期待されます。さらに、視覚探索が速くできるようにスマホアプリなどでトレーニングすることで、幸福度を上げるような研究にも着手し、心の未病の改善を可能にする手法の研究開発を目指すとのことです。