好熱菌を用いて食物繊維を高純度化することに成功


静岡大学と日本食品化工(株)の共同開発において、食物繊維の質を向上させるレボグルコサンを資化できる好熱菌を発見したと、国際科学オンラインジャーナルScientific Reportsに、2018年3月6日発表しました。

静岡大学

品質な食物繊維を作るために

 食物繊維は大腸の健康に欠かせないモノです。
糖質を加熱して得られる、食物繊維や市販のカラメルには、高分子の食物繊維の他に、ブドウ糖などの単糖類、いくつかの単糖がつながったオリゴ糖、さらに無水糖の一種であるレボグルコサンが含まれています。
 食物繊維の質を向上させるためには、カロリーの低減とこれらの低分子糖質画分を除く必要があります。

好熱菌「S-2701M 株」とは

 静岡大学は、無水糖の一種であるレボグルコサンを自然界から効率よく資化してくれる好熱菌「S-2701M 株」を発見しました。
 これにより、この好熱菌を用いて、単糖類や二糖類、レボグルコサンを完全に除去することで、食物繊維の高純度化に成功したとのことです。

レボグルコサンとは

 レボグルコサンはセルロース系バイオマスが燃焼することで生成され、自然界では多く存在する炭水化物なのです。
 しかしこれまでに、レボグルコサンの積極的な利用法に関する報告はこれまでありませんでした。
 今回発見された「S-2701M 株」は、レボグルコサンの有効利用にも出来る可能性がある未利用資源です。

今回の研究成果の概要

 静岡大学と日本食品化工(株)の製造工程において使用した食物繊維は、はじめにグルコースを活性炭と一緒に、高温で加熱していきます。
 しかし、冷却コストの面で考えると、次の工程の低分子画分の除去まで高温加熱での処理が適していると考えました。
 そこで、最初にレボグルコサンを炭素源とする培地を作製して、60℃で生育する微生物を探しました。
 その結果、静岡県と愛知県などの土壌から発見されました。
 これらのバクテリアは50℃〜70℃で生育するのに適している好熱菌の一種です。
その中でも、最も良い生育を示したのがS-2701M株を使い、食物繊維を炭素源とする培地での培養を試みました。
 その結果、食物繊維としての重要な高分子画分を損ねることなく、レボグルコサン、グルコース、二糖類の全てを除去できることが分かりました。

今回の研究による発展性

 レボグルコサンは、木などのバイオマスの燃焼に伴い、地球上で年間9,000トンも生成していると言われている、自然界でも豊富に存在する糖と言われています。
 しかし、これまで積極的な利用法に関する報告がない、未利用資源でした。
 今回発見された好熱菌S-2701M株は、「バシラス・スミシィ」と呼ばれるバクテリアで、このバクテリアは、バイオマスから乳酸などの有用物質を作ることができ、バイオテクノロジーにおいて、有用なバクテリアとして知られています。

バシラス・スミシィへの可能性

 人間にも学力が高い人や運動能力が高い人がいるように、同じ種類の微生物でも、多少性質が異なる場合があり、その違いに可能性を見出しているとのことです。
 これまで報告されているバシラス・スミシィは、レボグルコサンなどの無水糖を資化できませんでしたが、今回発見されたS-2701M株が、レボグルコサンなどの無水糖を資化できることが発見されたことで、これらの未利用資源の有効活用に応用できる可能性があるとのことです。