脳出血は冬の病気。では脳梗塞は?

国立循環器病研究センター

 国立循環器病センターは、脳血管内科で入院治療を受けた脳梗塞連続症例の登録情報に基づいて、脳梗塞患者の件数や重症度における季節差を明らかにしたと発表しています。
 脳出血は冬に多い病気ですが、脳梗塞の季節差については見解が研究者によって分かれています。この研究では、脳梗塞を病型ごとに分け、また、1年後までの患者さんの追跡情報を元に転帰を調べ、従来にない切り口で季節差を調べたとのことです。

脳梗塞入院件数の季節差

 国立循環器病センターで5年間(2011年〜2015年)に入院治療を受けた、急性期脳梗塞患者2965例を対象としています(中央値75歳、女性1170例)。

・季節差を年齢・病型・重症度に分けて
 冬(12月〜2月)、春(3月〜5月)、夏(6月〜8月)、秋(9月〜11月)に分けた入院の件数を、年齢:75歳超(1482例)・病型:心原性脳塞栓症(1031例)・入院時重症度:中等度〜重症(873例)の要因を用いて解析しています。

・冬の割合が目立って高い
 全体でみると、秋に件数がやや少ない以外は季節差は認められませんでした。一方、75歳超・心原性脳塞栓症・中等度〜重症の患者を限定して調査すると、いずれの場合も冬の割合が目立って高くなったとのことです。

・冬の割合が高い原因
 冬の割合が高い原因として考えられるのは、心原性脳塞栓症の最大の原因である心房細動の新規発生が冬に多いことと、心原性脳塞栓症患者は高齢で症状が重いことを挙げています。

脳梗塞重症度・転帰の季節差

 入院時の脳梗塞重症度に関しては、春・夏・秋はほぼ同程度で、冬に重症例が目立ちます。年齢と性別で調整した後も、冬や春の脳梗塞患者は秋の脳梗塞に比べて、中等度〜重症例が有意に多くなるとのことです。

 1年後の転帰に関しては、冬がやや不良ですが、統計的な有意性はないとのこと。死亡例の割合は、夏が秋に比べて高くなっています。

この研究から分かること

 過去の報告・研究では、脳梗塞の発生率の季節差について一定の見解が得られていませんでした。それは、研究ごとに民族の違いや調査方法の違いなどによるところが大きかったからです。

 今回の国立循環器病センターあるいは、センターが位置する大阪府北部において、季節ごとの入院治療件数の違いはあまりありませんでした。しかし、高齢者の脳梗塞、重症な脳梗塞という見方ではやや冬が優勢でした。

 心房細動のような心臓疾患を原因とする脳梗塞は、他の全身血管病と同じように冬の病気と言えそうです。一方、脳動脈の動脈硬化を原因とする脳梗塞は、脱水などがきっかけとなることが多いので、暑い季節にも注意が必要です。

 脳梗塞は冬の病気、と決めつけるのではなく、どの季節にも一定の割合で発生し、一年中注意を払うべき病気であるということは間違いないとのことです。