自然からの恵み・ポリフェノールで体を酸化から守ろう

熊沢義雄

[くまざわ・よしお]

医学博士(京都大学)。元北里大学教授。山梨大学大学院発酵生産学修了後、北里研究所、北里大学薬学部・理学部に40年間在職。順天堂大学医学部非常勤講師。専門は生体防御学(免疫学)。日本細菌学会名誉会員。現在は北里大学発のベンチャー企業の代表として奮闘中。

 今回は私の好きなワインにも多く含まれるポリフェノールについて、わかりやすく解説しましょう。

 植物は太陽の恵みを受けて光合成を行い生育します。一方で紫外線から受ける悪影響をさけるために、ポリフェノールなどの抗酸化物質を作り、みずからを防御しています。

 植物由来の化合物をファイトケミカルといいます。サポニンなどのテルペノイド、色素のカロテノイド、そしてフラボノイド(ポリフェノールの1種)などです。野菜や果物に含まれるファイトケミカルが健康に役立つことは、皆さんもご存じかもしれません。

 1970年代ごろまでは、日光浴が健康にいいといわれ、奨励されていました。ところが、過度に紫外線を浴びると皮膚のシミやくすみを招き、皮膚がんの原因にもなるということから、しだいにさけられるようになりました。

 では、紫外線を防ぐことで、皮膚がんの患者数が減ったのでしょうか? 減ったと思われるかもしれませんが、1975年と2012年の皮膚がんの発症数を比べてみると、男女ともに2012年のほうが10倍も多くなっていたのです。

 ヨーロッパ系の人たちが、過度に日焼けすると皮膚がんになりやすいのは確かなようですが、紫外線をむやみに回避することがほんとうによいのでしょうか。〝太陽のビタミン〟といわれるビタミンDは近年、研究が進み、ステロイドホルモンの1種と考えられるようになっています。適度の日光浴はむしろ健康にいいと見直されるようになりました。 

 食事から摂取したビタミンDは肝臓にある酵素の働きで化合物になり、血液中を循環します。残念ながら、この化合物の血中濃度が十分なレベルに達している日本人はほとんどいません。多くの人はビタミンDが不十分か、欠乏している状態です。特に、日焼けを嫌がって紫外線をさけて生活している女性は、ビタミンD欠乏症に陥りがちといえるでしょう。

 ビタミンDは免疫機能とも深くかかわっているため、欠乏すると乳がんや前立腺がん、大腸がんなどにもかかりやすくなります。もちろん、骨粗鬆症にもなりやすいので注意が必要です。

 

 ビタミンDの欠乏を防ぐために日光浴を行うことは大切ですが、日焼けするほど紫外線を浴びる必要はありません。最も紫外線が強い時間帯に、わずか15分程度の日光浴で大丈夫です。

 とはいっても、女性の皆さんは、肌のシミやくすみを心配されると思います。シミやくすみの予防には、ワインに含まれるファイトケミカルが役立つのです。お肌はもちろん、全身の健康のために毎日、ポリフェノールが多く含まれるワインを100㍉㍑程度飲むことで、抗酸化・抗炎症作用が期待できます。
 植物がポリフェノールを作り出して自分の体を守っているように、私たちも良質なワインを楽しみながら、自然の恵みであるポリフェノールの恩恵を受けたいものです。