腎臓専門医・草野英二名誉教授インタビュー「CKD48対策」をすべての国民に広めたい!

新たな国民病「CKD48」に要注意です

JCHOうつのみや病院院長/自治医科大学名誉教授 
草野英二

[くさの・えいじ]

1974年、東北大学医学部卒業後、北里大学で研修。1976年、自治医科大学に赴任後、1981年から2年間、米国メーヨクリニックに留学。1993年、自治医科大学腎臓内科学助教授。2002年、同大学教授。2015年から名誉教授。日本腎臓リハビリテーション学会監事、栃木県透析会理事を務める。

 私は現在、栃木県にあるJCHOうつのみや病院という医療機関の院長を務めています。院長という立場ではありますが、週に3日は腎臓専門外来を担当しています。患者さんの前では総合内科学を実践する担当医として、特定の臓器に偏ることなく広い疾患に対応した診断・治療をめざしています。

 専門医として長年、腎臓病治療の最前線で患者さんと向き合ってきた中、現代の腎臓病治療は大きな転換期を迎えていると感じています。

 日本腎臓学会の報告では、腎臓の機能が慢性的に低下する慢性腎臓病(CKD)の患者数は、日本国内に1330万人いると推計されています。実に成人の8人に1人という割合です。まさに新たな国民病といっても過言ではありませんが、一般の方の認知度は7~8%程度と極めて低いようです。

 慢性腎臓病の4大原因として「糖尿病」「慢性腎炎」「高血圧」「多発性嚢胞腎」が挙げられます。「4つの原因」「8人に1人」というCKDに関する数字から、「CKD48」と名づけて普及に努めています。国民的アイドルとして知られるAKB48のように、CKDという言葉を一般の方に認知してもらいたいのです。

 最近では、クロトー遺伝子という老化抑制遺伝子の発見によって、腎臓が私たちの老化や寿命と深くかかわっていることもわかってきました。クロトー遺伝子の働きが明らかになり、ミネラルの1つである「リン」が老化を促す原因物質であるという考え方が生まれました。老化が早いクロトー遺伝子欠損マウスに低リン食を与えると、老化が大幅に改善。哺乳類の研究では、血中リン濃度が高い動物ほど短命なことがわかりました。人間に関するデータでは、血中リン濃度の高い人は、低い人に比べて数倍も死亡率が高くなっているのです。腎機能低下の疑いが見られる人は、ふだんの食事でリンをとりすぎていないかどうかを意識するようにしてください。

 慢性腎臓病と診断されている人、すでに透析治療を始めている人、病期は異なっても「生活の質を維持したい」という願いは同じだと思います。沈黙の臓器である腎臓だからこそ、小さな異変を見逃さない姿勢があなたの腎臓を守ってくれるのです。