コマツナに含まれる色素成分は脂肪細胞に働きかけ肥満を防ぐ可能性

弘前大学農学生命科学部生物資源学科助教
前多隼人

生で食べられるサラダコマツナは東京都江戸川区で栽培されている

 東京都江戸川区はコマツナの生産量と品質が全国でもトップクラスです。江戸幕府将軍の徳川吉宗が、冬菜と呼ばれていた野菜を、江戸川区の小松川の地名にちなんでコマツナと名づけたと伝えられています。江戸川区、江戸川区農業経営者クラブ、江戸川花卉園芸組合と弘前大学は、コマツナのおいしさや機能性に関する研究を行ってきました。

 コマツナの色素成分には、ネオキサンチンというカロテノイドの一種が含まれています。これまでの研究で、ネオキサンチンには肥満を予防する可能性があることが判明。培養した脂肪細胞にネオキサンチンを加えると脂肪の合成にかかわる酵素の活性を下げ、脂肪の蓄積を抑える効果があるとわかりました。

コマツナ色素抽出物をとることで脂肪細胞での脂肪の合成が低下する
※「東京都江戸川区産小松菜の色素成分の生理機能と硝酸塩の安全性の検討」より

 葉物野菜を生で食べる場合、硝酸塩の体への影響が指摘されることがあります。江戸川区産のコマツナの硝酸塩の量を調べた結果、どの季節においても基準値以下であることを確認。マウスを使った実験で、コマツナを大量に食べた場合の安全性も確認しています。

 サラダコマツナは、小ぶりで甘みが強く、生でも食べられるように栽培された江戸川区産のコマツナです。加熱調理しなくてもおいしいため、熱で分解されやすいビタミンやカロテノイドなどの栄養素を効率よくとることができます。

 弘前大学では、リンゴやコマツナのほかにもさまざまな食品の健康とおいしさにかかわる研究に取り組んでいます。今後も地域の素材のすばらしさを伝え、付加価値の向上に役立つ研究を進めていきます。

この記事は2015年10月号に掲載されています。