リンゴの新品種〝紅の夢〟は果肉にも赤いアントシアニンが含まれ抗酸化作用が強い

弘前大学農学生命科学部生物資源学科助教
前多隼人

弘前大学が開発した紅の夢は果肉まで赤い
(写真提供:松本和浩弘前大学助教)

 青森県は、リンゴの生産量日本一を誇ります。現在、日本で最も多く栽培されているリンゴの品種は「ふじ」です。青森県にある弘前大学農学生命科学部附属生物共生教育研究センター藤崎農場はふじが誕生した場所です。ふじの名前の由来は、藤崎農場がある藤崎町の町名からきています。

 弘前大学では、リンゴの新しい品種の開発・研究をしています。いま注目されているのは、皮だけでなく、通常は白い果肉の部分も赤く色づく「紅の夢」という品種です。

 紅の夢を分析した結果、次の2つの機能性があることがわかりました。

ほかのリンゴと比べて抗酸化作用が1.5倍

紅の夢のポリフェノール量は王林やふじに比べて多い

● 抗酸化作用

 紅の夢の果肉に含まれるポリフェノールの量を分析した結果、ふじや皮が黄色の品種である「王林」と比較して、約1.5倍多いことがわかりました。

 ポリフェノールは、植物に含まれている成分で、渋みや苦みの成分でもあります。ポリフェノールは強い抗酸化作用や抗腫瘍作用などの働きがあると報告されています。

 紅の夢には、ポリフェノールの一種である赤色色素のアントシアニンが皮と果肉の両方に含まれています。リンゴを食べるとき、アントシアニンを含んでいる赤い皮をむくことが多いでしょう。紅の夢は果肉が赤くアントシアニンを含むので、皮をむいてもアントシアニンをとることができるリンゴです。ジュースや焼き菓子にしてもきれいな赤色が楽しめます。

● 糖吸収抑制作用

 リンゴには、腸の中で糖の吸収を阻害するフロリジンという成分が含まれています。紅の夢はふじよりもフロリジンを多く含むことがわかりました。フロリジンを多く含む紅の夢は、腸の中で糖の吸収にかかわるα‐グルコシダーゼという酵素の活性を阻害し、血糖値の上昇を緩やかにする作用があることが、試験管の実験と動物実験の両方で示唆されました。

 近年、紅の夢をはじめとした果肉の赤いリンゴや味の甘い黄色いリンゴなど、新品種が次々と誕生しています。リンゴは食物繊維や有機酸など健康に役立つ成分が多く含まれる果物です。今年の秋は新しい品種のリンゴを味わってみてはいかがでしょうか。

この記事は2015年10月号に掲載されています。