福井県鯖江市「SBE80!」平均年齢80.6歳! 紅白歌合戦出場をめざす鯖江発のアイドルダンスチーム

公民館で行われていたいきいきゲーム講座の健康体操をきっかけにダンスチームが誕生!

デビューコンサートで氷川きよしさんの『ときめきのルンバ』を踊るメンバーたち。ピンクの帽子は画用紙を使った手作りの一品

 福井県鯖江市は、眼鏡フレームの国内シェア率96%を誇る〝めがねのまち〟として有名です。めがねの聖地として名高い鯖江市に、いま注目を集めているダンスチームがいます。ダンスを通じて健康づくりの輪を広げる、平均年齢80.6歳の「SBE80!(エスビーイーエイトオー)」です。今回は、鯖江市役所の健康づくり課に勤めながら、SBE80!の振り付けを担当している理学療法士の山本進さんにお話を伺いました。

「SBE80!のメンバーは、現在12人で最高年齢は92歳です。活動は今年で13年めを迎えます。SBE80!は、鯖江公民館で行われていた、介護予防と子どもたちとの交流を目的とした生涯学習講座〝いきいきゲーム講座〟の健康体操をきっかけに誕生しました」

 山本さんによると、鯖江公民館のいきいきゲーム講座は、もともと自分たちの手で介護予防や認知機能の維持をすることを目標に、ゲームや折り紙などの手芸を行っていました。健康体操が講座に取り入れられるようになったのは、2006年のことだったといいます。

「2005年に職場の課長から、歌に合わせて踊れる健康体操を考えるように指示があったんです。最初は、『高齢者は歌に合わせて踊っても、リズムに遅れて楽しめないんじゃないか』と不安に思いましたが、氷川きよしさんの『きよしのドドンパ』という曲を使って、転倒予防と脳トレを目的とした健康体操を作ってみたんです。そのとき、健康体操を真っ先に取り入れてくれたのが、いきいきゲーム講座でした」

 考案者である山本さんは、いきいきゲーム講座で健康体操が使われていることを知らされなかったそうです。山本さんが考案した健康体操は、いきいきゲーム講座内でその後、5年間も使われつづけていたのです。

「健康体操を考えた後、講座で実際に行われていることはまったく知りませんでした。健康体操を作ってから5年後、鯖江市の健康づくりのイベントでSBE80!のメンバーたちが「ドドンパ体操」をお披露目するということで、考案者である私に監修の依頼がきたんです。そのときに初めてメンバーに会いました。このとき、チームの名前はまだSBE80!ではなく、ドドンパ体操を踊るということで『ドドンパレディース』と名づけられていました」

 当時は20人近くいたメンバーたちが、ステージで元気に踊るようすに圧倒されたという山本さん。健康イベントを終えた後、山本さんはメンバーからあるお願いごとをされたといいます。

「メンバーの皆さんから、『5年間、山本さんの作った体操をまじめにやってきたごほうびをください』といわれました。くわしく話を聞いてみると、健康体操の新曲が欲しいとのことでした。どんな曲が欲しいのですかと聞いたら、氷川きよしさんの『ときめきのルンバ』が踊りたいといわれました。私もこの曲は好きでしたし、せっかく5年間も健康体操をがんばってくれたので、バージョンアップした新しい健康体操を考えることを約束したんです」

 メンバーからのお願いを聞いた山本さんは、氷川きよしさんの『ときめきのルンバ』の曲に合わせた健康体操を考案。2010年2月22日には、グループのデビュー発表会を企画し、記者会見まで行ったのです。

ダンスチーム名をドドンパレディースからSBE80!に変更し記者会見で発表

いきいきゲーム講座で培った技術を生かしたSBE80!のメンバー手作りのブローチ

「記者会見ではチームの名前をドドンパレディースからSBE80!に変えたことを発表しました。チーム名の意味は〝鯖江の元気な80歳〟。びっくりマークまで含めるのが正式名称です。当時、女性アイドルグループのAKB48(エーケービーフォーティーエイト)が人気上昇中だったことをヒントに、鯖江をSBEと表現しました。「AKBは48だから、SBEは48を引っくり返して84にしようかなども考えました。最終的に80!になったのは、メンバーの平均年齢が80.6歳だったこと、0はオーと読むことができるので、がんばるときのかけ声としても使えると意見がまとまったからです」

 2010年4月20日、鯖江公民館でデビューを果たした、ドドンパレディース改めSBE80!。約130人もの観客の前で、山本さんが考えた新しい健康体操を披露しました。

 現在はおそろいの衣装を着て活動を行っているSBE80!ですが、結成当初は手作りの衣装で公演に臨んでいたとのこと。デビュー当時は衣装にさまざまな工夫をしていたそうです。

「いまは、えんじやライムグリーン色のTシャツに白いズボンが基本的な衣装です。最初は、季節ごとにTシャツの色を合わせて、リボン屋さんからいただいたレースを胸に縫いつけたり、木綿で作ったブローチをあしらったりしていました。氷川きよしさんの衣装をイメージしてかぶっていた帽子も、メンバーが画用紙で作った手作り品です。こういったところでも、いきいきゲーム講座での手芸経験が役立っています」

 デビューをきっかけに、活動が盛んになっていったSBE80!。市内の老人クラブや福祉施設、保育園、児童館などを舞台に年間約30回の公演をしながら、日々練習を重ねているそうです。

「最初のころ、健康体操は週に1回でしたが、現在は月に2回ほど行っています。練習をするさいには、メンバーの体調に気を遣うようにしています。健康体操に来るからといって、全員が元気というわけではないからです。メンバーの中には、腰が痛い、腕が痛いといった人もいます。絶対に無理をして体操をさせないようにしています。活動を通して仲間とのおしゃべりを楽しむだけでも健康づくりに役立ちますからね」

SBE80!が世間に与えた影響は大きく鯖江市内には後輩の姉妹グループも登場!

SBE80!の練習風景。山本さんのかけ声に合わせて「365歩のマーチ」を元気に踊っています
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 SEB80!の活動は、確実に健康づくりの輪を広げています。鯖江市には現在、高齢者ダンスチームが3組もあるのです。

「同年代の方にとって衝撃的だったようです。いまの鯖江市内には、SBE80!にあこがれて結成された姉妹グループがあるんです。平均年齢が、SBE80!より若いチームで、『本町小町』といいます。ほかに、『糺華陽舞会』というチームもできました。市外県外にも、健康づくりの輪は確実に広がっています。北海道札幌市には、『スマイルGOGO』というグループもでき、交流しています」

 SBE80!の活動は、市内だけにはとどまりません。〝呼ばれればどこにでも行くアイドル〟を合言葉に、活動の場をどんどん広げています。

「毎年、長野県小布施町と交流を行っています。3年前は記念式典に呼ばれて健康体操を披露させてもらいました。高齢者のグループどうしが集まって、研修会を行うこともあります。まだ現地に行くことはできていないのですが、中国と韓国の報道番組で紹介されるなど、海外のメディアから取材を受ける機会も増えています。海外では、SBE80!の活動が革新的にとらえられていることを実感しました」

 ダンスを通じて健康づくりの輪を広げるSBE80!。チームとして、今後の目標を山本さんに伺いました。

「多くの人から『AKB48さんとの共演が目標ですか?』と聞かれるんですが、実は、共演はすでに果たしているんです。チーム結成当時からの目標は、『NHKの紅白歌合戦に出場すること』。健康体操の曲でもお世話になっている氷川きよしさんの後ろで踊ることが目標です。そのためにSEB80!のメンバーは、大みそかのスケジュールをいつも空けているんです」

 最後に、SEB80!で活躍するメンバーの皆さんに、活動についてお伺いしました。

「私たちは、ダンスを通していつまでも若々しくありたいと思っています。SEB80!の活動を通して健康になることはもちろん、健康づくりの輪を広げていきたいです。活動を始める前は運動をする機会もあまりなく、家にいることが多かったんです。SBE80!に入ったおかげで、ダンスを楽しみながら毎日健康に過ごしています」