血液がんになっても社会復帰をめざす!繋ぎの会体操で結束を強めて就労支援にも取り組む

血液がん患者会 「繋ぎの会」

血液がんは早期発見が難しく判明したときは進行期と診断されることも少なくない

血液がん患者会
繋ぎの会


2015年4月、兵庫県の加古川中央市民病院で設立。月1回の勉強会や情報交換会などによる教育の場作りと患者どうしの交流を行っている。会の最後には「繋ぎの会体操」を患者全員で行い、日常生活に必要な筋力やバランス能力を養う取り組みをしている。

 血液がん患者会「繋ぎの会」は、兵庫県加古川中央市民病院腫瘍・血液内科の岡村篤夫医師の呼びかけで発足。白血病・悪性リンパ腫・骨髄腫などの患者さんどうしが勉強会や情報交換を行っています。

広岡史郎さん(以下、広岡さん)私が急性リンパ性白血病になったのは、64歳のときです。体調不良が続いてさまざまな検査を行った結果、診断されたのが白血病。突然のがん告知に目の前が真っ暗になりましたが、骨髄移植とさい帯血治療で命は助かりました。周囲の支えや励ましで治療を行い、症状は落ち着いています。「繋ぎの会」に参加される患者さんの中にも、私と同じように検査をくり返してがんが見つかったという方が多くいらっしゃいます。

岡村篤夫先生(以下、岡村先生)白血病や悪性リンパ腫など、血液がんの注意しなければならない点は、ほかのがんと違って早期発見が難しいことです。病名がわかったときには、ステージが進行していることも少なくありません。見つかったときには重症である患者さんも多く、発覚したショックで医師の説明を覚えていなかったり、涙を流したりする方もいます。

繋ぎの会は、兵庫県・加古川中央市民病院の岡村篤夫医師(左から2人め)の呼びかけで発足した

岩坂梢さん(以下、岩坂さん)私には7歳の息子と2歳の娘がいます。急性骨髄性白血病とわかったのは、30歳で下の娘を出産したときのことでした。帝王切開で出産した後、主治医の先生から気になる数値があるといわれて血液の精密検査を受けることになりましたが、最初の検査では何もわかりませんでした。

 その後、岡村先生が診察されている血液内科で骨髄検査を受けたところ、白血病と判明しました。検査が終われば、生まれたばかりの娘のそばにいられると楽しみにしていたのに、まさか白血病と診断されるとは思ってもみませんでした。

「がん=死」と意識してしまい、子どもたちとの生活がどうなるのかが心配で、泣きながら先生の説明を聞いていました。7ヵ月間の入院と2年にわたる通院治療で、子どもたちとの楽しい生活を取り戻せたんです。家族をはじめ、岡村先生や看護師さんたちの支えがあったからだと感謝しています。

岡村先生 血液がんは、抗がん剤の治療効果が高い病気です。きちんとした治療を行うことで生存率も高くなります。弱気にならず、治ったときのことをしっかり考えて治療することが大事なんです。

岩坂さん 白血病とわかったときには、子どもたちに大きなものを背負わせてしまったと思いました。入院生活中、看護師さんたちとのたあいのない会話が心の支えになったことを覚えています。抗がん剤治療の副作用では脱毛や吐きけ、食欲不振、口内炎などに悩みました。無菌室での入院生活は、世の中から取り残されたような不安もありました。でも、家族や岡村先生、看護師さんたちに支えてもらいながら、がんと闘いました。

 がんを患って失ったものは多くありますが、それ以上にまわりの人の温かさや時間の大切さなど得たものもあると思っています。繋ぎの会に参加して、同じような境遇を経験しながらも、毎日を明るく元気に過ごしている方々とふれあうことで、とても励まされています。

血液がんは適切な治療を受ければ社会復帰が可能で治療後の生活に備えることが肝心

月に1回行われる勉強会や情報交換会では、毎回40~50人ほどの患者さんが集まる

広岡さん 繋ぎの会の設立は2015年4月です。患者さんやその家族を対象に、互いに支え合える交流の場として発足しました。会では病気や治療に関する情報の共有や提供のみならず、ハローワークの担当者を招いて話をしていただくなど、治療後の社会復帰についての啓発活動にも取り組んでいます。経済的な話題以外に〝終活〟をテーマにすることもあります。

 また、会の結束を強めるうえで評判なのが、設立当初からのメンバーで、理学療法士でもある鈴木康三さんが考案した「繋ぎの会体操」です。リハビリの専門家である鈴木さんは現在、看護学校で講座を開いています。ご自身の闘病生活を踏まえ、患者さんと気持ちを通わせることのできる看護師さんの育成にも力を入れています。

岡村先生 私が患者会の立ち上げを呼びかけた理由の1つに、血液がんを経験した患者さんたちの〝死生観〟を変えたいという思いがあります。残念ながら、治療がうまくいく患者さんばかりではありません。治療後の残された時間をどのように過ごすべきか、患者さんどうしが話し合って考え直す場でもあってほしいと考えています。

 血液がんは治療がうまくいくと社会復帰できる病気です。しかし、血液がんは診断から治療が始まるまでの期間が短く、治療開始当初は収入や仕事など、その後の生活のことにまで気が回りません。治療後の就労問題は大きな課題の1つです。繋ぎの会の活動を通し、「備えること」「心構え」を身につけてもらいたいと思っています。治療を終えた患者さんばかりではなく、闘病中の患者さんにも多く参加していただきたいです。

 現在、繋ぎの会の活動は加古川中央市民病院が拠点になっています。将来的にはNPO法人となって、患者さんたちが自主的に運営できるようにしたいと思っています。

血液がん患者会「繋ぎの会」の連絡先は、http://www.kakohp.jp/about/sudy_hdf.html
Tel 079-451-8652です。